ラダーシリーズとは
「ラダー」はハシゴの意味で、ラダーシリーズとは英語を勉強する人のための英語の本です。
有名な本や人気のある書籍を、読む人の英語のレベルによって使用する単語を限定し、ハシゴのように段階的にレベルを上げていくシリーズです。
英語のリーディングには「意味が多少わからなくても大量に英語で書かれた本を読む多読が効果的」という話を聞き読んでみることにしました。
カフカは名前だけ知っていた。
「変身」の著者のフランツ・カフカはチェコ出身の作家で、20世紀初頭に大学卒業後、保険関係の仕事をしながら執筆活動を行っていた人です。
シュールレアリズムの祖として世界的に評価されたのは死後のことで、生前はあまり評価も受けず、その上、幾度も離婚を経験したり、結核を患ったりと苦労の耐えない人だったようです。
ある朝起きると巨大な虫になっていた男
まさにシュールな始まり方なこの本の冒頭ですが、タイトル通りある男が「変身」するところから物語が始まります。
「人間が虫になるところから始まる本がある」ということはなんとなく知っていました。
しかし「こんな突拍子もない冒頭で一体この後どうやって物語を展開させていくんだろう?」と読むことをためらっていましたが、今回、せっかくの機会なので読んでみることにしました。
「巨大な虫になった男」は日本のサラリーマンと重なる。
巨大な虫になった男は、事業に失敗した父と専業主婦の母、そして引っ込み思案な妹との4人暮らしで、家族の中で唯一の働き手としてパワハラ上司にいびられながら営業の仕事をする毎日でした。
この辺りから徐々に男に共感していく自分に気がつきます。
そして、虫になったことで仕事を続けることができず、引きこもり、家族からも徐々に厄介者扱いされていきます。
「虫」という空想的な表現を使うことで逆に様々な境遇の人達が共感しやすくなっているのかも、と思いました。
虫の代わりに「鬱」を当てはめる人もいるでしょうしその他の「病気」「怪我」あるいは「老い」「リストラ」などを当てはめる人もいるでしょう。
著者のカフカの人生が困難に満ちており、おそらくその経験からだと思うのですが、男が「虫」になった後の家族や周りの人達の反応が本当に人それぞれで、リアルで心臓が痛くなってきます。
感想
実は、この「周りの人達の反応」を描くためにこの作品は書かれたのかな、と私は感じました。
皮肉に溢れた作品ですが、決して一辺倒に周りの人達を悪者にはしていないのでその人達の誰か、に自分を当てはめることもできます。
「虫になった男」以外の3人は金銭的に、とか精神的に、とかなんらかの形で虫になる前の男に依存していました。
その人達に自分を当てはめることで、自立して生きる、あるいはお互いが自立した人間関係とは?本当に人に優しくするってどういうことなんだろう?そんなことを考えるきっかけになりました。
ちなみにこの本の結末には不思議なほど爽やかな印象を受けました。
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ippei
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