本当に面白い、楽しい体験をした時ほどそれを人に伝えるのは難しいです。
昨日は趣味でコントをやっている仲間で小説家の並木たかあき君に誘われて大学生の落語を聞きに東京大学の駒場キャンパスに行ってきました。
1週間後に全日本学生落語選手権「策伝大賞」をひかえ、その大会に出場予定のツワモノ達が肩ならしのために行うイベントとのこと。
会場は学生会館の会議室のようなところを手作りで落語使用にし、入場料も無料です。
久しぶりに大学キャンパスに入り、ブラスバンドやダンスの練習をする学生さんを横目になんだかはしゃいだ気持ちになってそれだけでも来てよかったくらいに思い、正直落語の内容自体はさほど期待していませんでした。
通常の落語はもっと長いですが、今回は2時間で16人と大勢が出演するため1人の持ち時間が6分前後とのこと。落語初心者の私にも聞きやすいかも、などと軽い気持ちで聞いてましたが・・・予想をはるかに超えて
上手い! 面白い!
有名な古典落語をベースに要約し、少しだけ今風な言葉にアレンジしたものが主流でしたが、元々のお話の良さを損なわないように自分の持ち味やキャラクターを織り交ぜ、全力で自分をさらけ出すことも臆さない。とても学生とは思えません。むしろ何度か聞きに行ったことのある寄席に出てくるプロの落語家達の中でも上位の方では?と思ってしまうほどの人もいます。
会場が大学の構内で、入場料が無料で、しかも観客は学生さんばかりで、みたいなフランクな環境が聞く側が面白いと感じるハードルを下げている部分はあると思いますが、それにしても伝わってくる笑いに対する真剣な姿勢は凄みがあります。
並木君に驚きを伝えると、
「今の人が前回の学生チャンピオンで2人前の人が3位なんですよ!」
とのこと。プログラムには出演者達の名前の横に大学名が書いてあります。
東は法政大学、東京経済大学、東京大学 etc. 西は関西大学、岡山大学、などそれぞれの大学のエース級の人達が集まってきているのでしょう。
古典芸能という、文化として確立したジャンルでありながらも少数派な「落語が好きな人達」だからこそただの内輪ウケに走らず、切磋琢磨したり交流できたりしているのでしょうか。
とにかく観ていて感動すらおぼえる光景でした。
ippei
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