あることないこと書きます。
カサイ臨海水族館。
同館の目玉は、体長1.5メートルから2メートルのまるで銀色に光る鎧をまとったような100匹以上のマグロの群れでした。
普段は隊列をなす騎士団のように綺麗に整列して同じ方向に泳いでいますがエサの時間になり、飼育員によって小魚が投げ込まれると水槽の中は戦場へと変わります。
それまでゆったりと泳いでいたマグロ達が我先にと争いながら小魚に群がる迫力は圧巻で、1日1回あるエサの時間の30分前には特大の水槽の周りに人だかりができ、その迫力ある光景を見た人々は歓声をあげました。
ところが2014年、事件は起こります。
突如、原因もわからぬまま次々とマグロ達が死に始めたのです。被害は加速度的に増大し、半年後には1匹を残して全滅しました。
唯一生き残ったマグロは、困難を乗り越えた「奇跡のマグロ」としてニュースに取り上げられ人気を博し、翌年から徐々に投入されてきたまだ若いマグロ達と比べると一回りも二回りも大きいことも手伝って、群れのリーダー的存在として客足が激減した水族館の経営をギリギリのところで成り立たせていました。
そんな厳しい状況の中、水族館サイドの必死の調査は続いていました。そして2016年4月、ついに同館はマグロの大量死の原因を以下の通り発表しました。
「マグロ類の減少は単一の要因によるものではなく、間接・直接的な複数の要因が時に重層化し、複合的に作用したもの」
よくわからなかったのでもう一度書きます。
「マグロ類の減少は単一の要因によるものではなく、間接・直接的な複数の要因が時に重層化し、複合的に作用したもの」
謎が謎を呼びます。
唯一生き残った奇跡のマグロが2週間の絶食後、自ら水槽に突撃して死んだのは第一陣の若手マグロ達が一人前に成長した頃、大量死の原因発表の日から約4ヶ月後のことでした。
現在は数も100匹近くに戻り、新たなマグロの騎士団のエサの時間には再びたくさんのお客さんの歓声が沸き起こっているとのことです。
ippei
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